私たちが普段何気なく使っている合鍵ですが、その元となる素材が「ブランクキー」と呼ばれるものであることをご存知でしょうか。ブランクキーとは、その名の通り「ブランク(空白)」の状態の鍵のことであり、鍵山がまだ削られていない、溝だけが掘られた金属製の板のことを指します。ホームセンターや鍵屋さんの壁一面に吊るされているピカピカの鍵たちがまさにそれで、客が持ち込んだオリジナルの鍵(マスターキー)の形状に合わせて、専用のマシンでこのブランクキーを削ることで、世界に一つだけの合鍵が誕生するのです。ブランクキーには数え切れないほどの種類があり、メーカーや車種、建物の年代によって鍵穴の形状(キーウェイ)が微妙に異なるため、合鍵を作る際の第一歩は、数あるブランクキーの中からマスターキーの溝と完全に一致する一本を選び出すという、プロの目が試される重要な作業から始まります。もしここで溝の形状がわずかでも違うブランクキーを選んでしまうと、いくら精密に山を削ったとしても鍵穴に差し込むことすらできない「使えない鍵」になってしまうため、鍵屋さんは膨大な在庫の中から瞬時に正しいブランクキーを特定する知識と経験を持っています。また、ブランクキーは真鍮や洋白といった加工しやすく耐久性のある合金で作られていることが一般的ですが、最近ではファッション性を重視したカラフルな樹脂ヘッド付きのものや、キャラクターが描かれたもの、さらにはLEDライトが内蔵されたものなど、多種多様なデザインが登場しており、単なるスペアキーとしてだけでなく、持ち主の個性を表現するアイテムとしても楽しまれています。合鍵を作るということは、この無垢なブランクキーに命を吹き込む作業であり、その一本一本には職人の技術と、生活の安全を守るための基礎が詰まっているのです。