キャビネットの鍵を紛失してしまった時、中に入っているものが必要であればあるほど、人はパニックに陥りがちです。しかし、焦って行動すると、かえって事態を悪化させてしまう可能性があります。まずは深呼吸をして、冷静に正しい手順を踏むことが重要です。最初に確認すべきは、スペアキーの有無です。キャビネットを購入した際には、通常二本以上の鍵が付属しています。自宅の引き出しや、オフィスの決まった保管場所など、心当たりのある場所をもう一度探してみてください。意外と身近な場所から見つかることも少なくありません。スペアキーが見つからない場合、次に試みるべきはキャビネットのメーカーや型番を確認することです。本体の側面や引き出しの内側に貼られたシールに、メーカー名や製品番号が記載されていることが多いです。その情報を元にメーカーのサポートセンターに問い合わせると、鍵番号から合鍵を取り寄せてもらえる場合があります。ただし、これには数日から数週間程度の時間がかかるため、緊急時には向きません。すぐにでも中身を取り出す必要がある場合は、鍵の専門業者、いわゆる鍵屋に依頼するのが最も確実で安全な方法です。プロの業者は、ピッキングなどの技術を用いてキャビネットを傷つけることなく解錠してくれます。また、その場で新しい鍵を作成してくれるサービスを提供しているところもあります。ここで注意したいのが、自分で無理やりこじ開けようとすることです。ドライバーやバールのような工具を使うと、扉や鍵穴を破壊してしまい、結果的にキャビネットごと買い替えなければならなくなる可能性があります。修理費用よりも高くついてしまうケースも多いため、破壊開錠は本当に最後の手段と考えるべきです。鍵の紛失に気づいたら、まずは落ち着いて探し、見つからなければメーカーや専門家に相談するという流れを覚えておきましょう。