賃貸物件の鍵をなくしたことに気づいた瞬間、多くの人はパニックに陥り、「すぐ家に入りたい」という一心で、インターネットで検索した鍵屋に直接電話をかけてしまいがちです。しかし、この行動は、後々のトラブルを招く可能性があり、絶対に避けるべきです。賃貸物件の鍵を紛失した場合、いかなる状況であれ、最初に行うべき行動はただ一つ。「大家さんまたは管理会社に連絡し、指示を仰ぐこと」です。なぜ、鍵屋への直接依頼がNGなのでしょうか。その理由は、賃貸物件の鍵は、あなた個人の所有物ではなく、あくまで大家さんから借りている「物件の設備の一部」だからです。そのため、鍵の交換や修理に関する権限は、全て大家さんや管理会社にあります。もし、あなたが無断で鍵屋を呼んで鍵を交換してしまった場合、それは契約違反にあたる可能性があります。管理会社は、全ての部屋の鍵の種類やマスターキーシステムを管理しているため、勝手に異なる種類の鍵に交換されると、物件全体の管理に支障をきたしてしまいます。また、管理会社が提携している指定の鍵屋がある場合も多く、そこに依頼すれば、市価よりも安く交換できるケースもあります。自分で探した業者が、相場より高額な料金を請求する悪質な業者であるリスクも避けられます。正しい手順はこうです。まず、管理会社の営業時間内であれば、すぐに電話で紛失の事実を報告します。営業時間外や深夜で、どうしても家に入れない緊急の場合は、管理会社の緊急連絡先に電話するか、それが繋がらなければ一旦自分で鍵屋を呼んで解錠だけしてもらい、翌営業日に必ず紛失の報告をします。この際も、「解錠作業のみをお願いします。鍵交換は管理会社の指示を待ちます」と、鍵屋にはっきりと伝えることが重要です。自己判断で行動せず、まずは報告・連絡・相談を徹底する。それが、賃貸物件の入居者として果たすべき最低限の義務であり、問題をこじらせないための鉄則なのです。