賃貸物件の鍵を紛失し、数万円にも及ぶ鍵交換費用を前に、頭を抱えている方も多いのではないでしょうか。そんな時に、一筋の光明となる可能性があるのが、入居時に加入した「火災保険」の存在です。実は、契約内容によっては、この火災保険に付帯する特約を利用して、鍵の交換費用の一部または全額を補償してもらえるケースがあるのです。多くの人が、火災保険は文字通り「火事の時のための保険」だと考えていますが、近年の火災保険（正確には家財保険を含む総合保険）には、「日常生活での様々なトラブル」をカバーする特約がセットになっていることが一般的です。その中に、「鍵の紛失・盗難による交換費用補償」や、「破損・汚損損害の補償」といった項目が含まれていることがあります。「破損・汚損」という言葉からは、鍵の紛失は対象外のように思えるかもしれませんが、保険会社によっては、鍵の紛失もこの補償の対象として認めている場合があります。また、保険の補償とは別に、無料の「緊急時駆け付けサービス」が付帯していることもあります。これは、鍵の紛失や水回りのトラブルが発生した際に、保険会社が提携する専門業者を無料で派遣してくれるというもので、少なくとも解錠作業にかかる費用を節約できる可能性があります。ただし、これらの補償やサービスが利用できるかどうかは、あなたが契約している保険のプラン次第です。全ての保険に付帯しているわけではありませんし、補償には上限金額が設けられていたり、数千円程度の自己負担額（免責金額）が必要だったりする場合もあります。鍵を紛失して管理会社に連絡した後、業者を手配する前に、まずは手元にある保険証券を引っ張り出して、契約内容を確認してみてください。そして、保険会社の事故受付窓口に電話をし、「賃貸の鍵を紛失して交換が必要になったのですが、保険は適用されますか」と、具体的に問い合わせてみることが重要です。知っているか知らないかで、数万円の出費が大きく変わるかもしれないのです。